12名の新進アーティストによる展覧会「Chroma Distance」を2023年1月20日(金)から2月5日(日)まで開催いたします。
本展覧会は、株式会社ポーラ・オルビスホールディングスと株式会社TRiCERA との共同企画により、ポーラミュージアムアネックス(東京・中央区銀座)にて開催されます。
Chroma Distance
出展作家と展示作品は、メディウム、規模、コンセプトの点で互いに異なりますが、同時に一つの共同体の中で相互に影響を与え合っています。アイデンティティの親密な描写から、崩壊と生成、時代の交錯、過去の悲惨な事件の克服への切迫感の増大まで、作品は幅広いコンセプトの関心事を示しています。抽象的な手法と具象的な手法の両方によって、作家は空間の感覚を探求し、形式の基礎となる形と質感を考察しています。
本展では、12 名のアーティストの新作を含む合計約40点を展示予定です。
開催概要
Chroma Distance
会期:2023年1月20日(金)-2023年2月5日(日) ※会期中無休
開館時間:11:00 - 19:00 (入場は18:30まで)
入場無料
会場:ポーラミュージアムアネックス
〒104-0061 中央区銀座1-7-7ポーラ銀座ビル3階)
アクセス:東京メトロ銀座一丁目駅7番出口すぐ/東京メトロ銀座駅A9番出口から徒歩6分
主 催:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
協 力:株式会社TRiCERA
参加アーティスト
1. 沼田侑香
デジタル化の進む現代において私たちの“リアル“はどこに存在するのだろうか。
日常生活において現実を実感する場所のひとつとしてスーパーマーケットがある。
ここには生活する上で必要な食料品が揃っており、私たちの生活を支える場でもある。
このパッケージシリーズは架空のスーパーマーケットをテーマに制作したシリーズ作品の一つであり、商品のパッケージをPhotoshopといった画像編集ソフトを使用し画像のバグやずれなどを発生させているのが特徴だ。
コンピューターの中でしか起こり得ない状況を再度アナログな手法で構築し、現実世界に再インストールすることで私たちの“リアル“を探し出すことができるのではないだろうか。
《キャベツ太郎》2022年 プラスチックビーズ、アクリル板 H465 × W700 × D10mm
2. 松村咲希
複数の技法や色彩を組み合わせて描くと、ぶつかり合いや歪みが生じます。それらの思わぬ効果を発見した時、自身が普段どのような感覚でいるのか再認識し、また、 新たな感覚へのイマジネーションも膨らませてくれます。
まだ見ぬものへの想像は、 私たちを取り巻く世界との関わりと眼差しを変化させ続けることに繋がると信じています。
《FORM-vortex 4》 2022年 アクリル絵具、木パネル、綿布 H1621 × W1303 × D50mm
3. U-ku
私たちは無意識に「不随意性と決断」を幾度となく繰り返し経験している。その事象の中で人はいつ何時も孤独である。U-ku は幼少期に海外に移住した際、文化や言語の差による 孤独と、帰国後「帰国子女」として心情的に受けた孤独のどちらも体験した。その後も幾度となく感じる同様の感覚は、いずれも集団にいることが条件で発生した。
哲学者の三木清も「孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのでなく、大勢の人間の『間』にあるのである」と述べている。しかし孤独の時にこそ訪れる「不随意性と決断」の応酬によりその孤独は新たな発展を生み出すきっかけにもなり得るのではないかと考えた。自身で選択した水彩絵の具の色が生み出す不随意的な滲みや形を、U-ku 自身の記憶と照合させ最後にモチーフを加える。それらを第三者が鑑賞することで新たに多様な記憶と結びつき、その作品は鑑賞者の数だけ背景を増していく。しかしそこには必ず 1 対 1 の対話しか存在せず、擬似的に鑑賞者はあらゆる「孤独」と向き合うこととなる。
《誕生》 2022 年 水彩絵具、顔料、金箔、水性ジェッソ、木製パネル h727×w727mm
4. 相川恵子
顔のなかにも顔があるように思える。対面するその人にも自分が知らない顔が存在していることを。私たちは他人と完全に理解し合えることはないし、分かり合えることもない。その人そのものを見るにはどうしたらいいのだろうか。
今回の作品では一つの顔のなかで顔を探すように描いた。
《できるだけ考えないようにする》 2022 年 油彩、キャンパス h530×w652×d200mm
5. 大村雪乃
黒いパネルに色とりどりの丸シールで描く夜景は、離れて観ると写真にしか見えないが近づくと文房具の丸シールで描かれていることに誰もが気づく。安価な素材で都会を象徴する夜景を描くことで、金銭的な価値の矛盾や大量消費社会の違和感を表現している。
《Can't Help Falling In Love》2022 年 アクリル絵具、パネル、シール h727×w500mm
6. チヒロボ
reamlike reality=夢のような現実をテーマに、自身で撮影した写真を素材に、今 どこで何を見ているのかを凝縮し、作品にする。目の前の中にある風景の中にどれだけ沢山のワクワクを見つけることができるだろうか。「発見の喜び」という感動がどれだけ楽しく幸せな事かを伝えたい
《chihi-robo》 2022 年 アクリル絵具、写真 h727×w606mm
7. 堀川由梨佳
「occhan(おっちゃん)」は「人」(ユニセックス)のアクティビティを表しているモチーフです。また、ボーダーやストライプの歴史的背景を鑑みつつ、それを作るのも 変化させていくのも人であると感じて制作をしています。 作品の背景となるものは、 社会問題に端を発したものや負の要素も含まれていますが、それらを昇華し、人が垣間 見せる明るさ・楽しさを アートとして発信し続けています。 常に興味の湧くこと、私にとって損失しているものや内在している負の感情を好転させてくれる存在を具現化しています。
《readman》2018 年 アクリル絵具、樹脂 h390×w160×d210mm
8. Maoka Ueda
Wonky( グラグラで不安定な ) Tunes( 旋律 ) とは、歪んだキャラクターの一部が 一見不規則でありつつも規則的な自然界の曲線状をたどり、旋律を奏でるように1つの全体の中に統合され、新たなものが再構築される、というテーマで描かれた私が過去から 一貫して取り組んできた作品のコンセプトです。 よく観察すると規則正しく美しい自然 の法則を、カートゥーンキャラクターを用いて表現し、放射線状に広がるキャラクターは、引きと寄りで見た際や、キャンバスの向きによって、様々に表情を変えます。
見る人が、頭の中で自由に線を繋げることで見え方が変わり、1 つのものが多方面の解釈によりさまざまな見方ができるように、絵の中のキャラクターも捉え方によって様々な表情を作り出します。
《Angela》 2022 年 アクリル絵具、ジェッソパネル h455×w530mm
9. Ayaka Nakamura
風景から感じる空気や感情を描き、即興的な線と素材の蓄積は、命の動きや音、まだ言葉として生まれる前の感情を表しています。私たちは、一人一人はちっぽけな存在ですが、多くの命が集まり、この大きな宇宙を作っています。直接的に関わらなくとも、この世に存在する命によって今この瞬間がつくられ、自分もその一部だと感じでいます。全ての 風景は命の交わりが織りなす一瞬の奇跡で、二度と同じものはありません。その時の感情や目線の高さなどによっても、見えてくる景色は変わっていきます。風景を見るという ことは、自分を見つめることかもしれません。風景を描くということは、あなたを描き、自分を描いているのかもしれません。風景を見るということと、絵を見るということは どことなく似ている気がします。作品を見たとき、あなたのどこかに繋がることを願っています。
《finding some kind of peace ##》 2022 年 アクリル絵具、メッキ調顔料、キャンバス h1920×w1050
10. あおいけい
私のアートは大きく二つの刺激から出来ています。ひとつは母になったことや、先祖 について考える機会があったことから、命の連鎖や長い歴史と対比した時の生命の一瞬 すぎる輝き、その流れの中にいる自分に感銘を受けたことです。もう一つは写実と画力 に全力で向き合ったことによって創造物としてのリアル(時空や物理を含めたこの世界 の全て)に圧倒されたことです。もう一つ裏のテーマは絵を通して本物のリアルを覗き、リアルと人間のつながりを知り、『なんかいい』をキャンバスに落とし込む、ということです。音や味が分かりやすいかと思っていますが『心地いい音』『嫌な音』『おいしい』『まずい』など、個々で差はあれど、この人間の共通認識は何なのかを知りたい。
アートは自由、アートは好みと言われがちですが『なんかいい』は視覚にもあり、美しい と思う『答え』はあると思っています。それを模索し『美』をキャンバスに落とし込みた い。見えないそれを見ることは常識や思い込みから解放されるときがあり個人的に楽しく、今はそれがリアリズム画の目的になっています。
私的な作品が多く手放すことが難しいほど、心動かされたときに描く絵がほとんどです。
《息吹》 2020〜2022 年 油彩、キャンパス h5000×w606×d200mm
11. 高屋永遠
私の絵画空間の位相への関心は、「存在とは何か」を問う形而上学的な探究と結びつきながら発展していきました。絵画空間の中では、何かが「存在する」とした時の個体性や形態が示されるのではなく、その物体または自然現象が感覚器官への作用によって心に生じさせた主観的な性質が多義的に現出していきます。知覚の痕跡を空間の位相として変換することが私の作り出す作品の経験です。
そうして創造された空間は、記号論的な観点においても、透視画法の視点からも、多元的であると言えます。そこには、過去、現在、そして未来といった区分は存在しません。
顔料から作られた不定形の形態と色面とを融合させることで現象的な絵画空間を作り出します。
《相対 / Relativity》 2022 年 顔料、油、麻キャンバス h727×w500×d20mm
12. さめほし
アクリル絵の具とペンで崩壊と生成をキーワードに、顔の造形が崩れた少女等をモチーフとした、細かい線描を交えたペインティング作品を中心に発表。
また、書籍の装画や CD ジャケット等にも多数作品を描き下ろしている。
《Untitled》 2023 年 アクリル絵具、ペン、綿キャンバス h606×w727×d30mm