初回購入時に5%OFF & 送料無料

FIRSTART5

2回目購入時に使える10%OFFクーポンを初回購入後発行!

  • EXHIBITION

QUICK INSIGHT Vol.14 ダーク・ポップ|ボウル太郎

2021/10/07
Soichiro Masuda
多くの問題を抱える現代のリアリティを シュール且つポップに描く日本の若手作家, ボウル太郎
制作を始めたきっかけはなんでしょうか。
作品を制作し始めたきっかけは、入学した高校が美術学校だったという事です。最初はあまり制作にあまり真剣ではなかったのですね。そんな時に高校展という学生コンペに応募することになり、下絵に悩んでいました。いくつか描いてみたのですが、先生に面白くないと言われたりしたので参考にするためにM.Cエッシャー(1898- 1972)の個展を観に行くことにしました。エッシャーの作品を目の前にした時に雷が頭に落ちる衝撃を受け「今、絵を描ける」という感覚が降りてきました。その時にエッシャーに体を乗っ取られたと思い、その次の日から絵が変化し自由に描ける様になり、下絵も面白いと言われる様に変わったんです。それから作品に対して本気で人生を賭けて挑んでみようと思いました。
ボウル太郎という名前の由来はなんでしょうか。
私の本名は朝井というのですが、ブラジルの料理で、アサイーボウルというのがあるんです。これは、果物のアサイーのスムージーに他の果物や蜂蜜などを加えたものなのですが、このアサイーボウルの名前から取ってボウル太郎になりました.芸術と聞くと気構えてしまう人が多いし、硬い名前の芸術家の方などは名前のイメージに引っ張られて、絵も硬くなってしまうのかなと思っていて、なので自分は絵を自由に描いてますという事を表したくて、こういう名前にしたんです。

作品詳細ページはこちら

影響を受けたもの、自身にとってターニングポイントになっていると思うものはなんでしょうか。
先程も紹介したM.Cエッシャーもターニングポイントになっているのですが、絵を更に変えてくれたのはキース・ヘリング(1958-1990)です。彼の作品はポップで、オシャレで、現代的で、描かれたもの一つ一つにストーリーがある所にとても刺激を受けました。また、彼のポップアートの商業的な部分がとても素晴らしいと感じて、Tシャツなどにしたときにオシャレになる作品を作ってみたいと思わせてくれました。なので彼には確実に大きな影響を受けたと感じています。

作品詳細ページはこちら

現在の制作のテーマについて教えてください。
制作のテーマは「物語」です。私の作品は一つの絵画の中で、物語を展開するような構成にしています。私は小説などを書くのも好きで、その中でも物語を構成するのが特に楽しいと感じています。どのような作品を作るにせよ、自分の制作する全てのものにおいて「構成」はとても大切にしています。また、漫画や小説は沢山の枚数で人に伝える事をしているメディアなので、その連続性において、物語の流れを説明するのが絵画よりも容易だと思っています。ですが、絵画は一つの画面にその物語の全てを入れ込まなければなりません。そうでなければ、文脈のない、なんの意味も中身も無い物になってしまうと感じています。そのため、私は「一枚の絵画の中で物語を伝える構成作り」をテーマに制作をしています。

作品詳細ページはこちら

物語」というキーワードを持って作品を制作されているということですが、主題や、描いているものは、「現実」的なものが多いように思います。「現実」と「物語」の関係についてどのように考えますか。
絵というのは誰かに見てもらうことを前提に描いているものなので、物語の中に現実的な要素を入れ込むことで、彼らの感覚に近いものを作品の中に感じ取って欲しいと思っています。ただ、現実味がありすぎても絵画は面白くなく、一方で、フィクションなどの物語性が強すぎても分かりづらくなると思っていますので、その間の絶妙なラインを出せるように描いています。

作品詳細ページはこちら

手法や色彩の影響もあるでしょうが、全体に少しダークな印象を受けます(ブラックユーモアのようなものに近い雰囲気かもしれません)。そういった印象についてご自身はどのように感じますか?
自分はまだ18歳で、一年の間に思考が変わっていきます。私もですが、人々の中でブラックな、ダークな気持ちは、特に今の時代にはとても強くなってるように思います。これまでは人々のそんな部分に共感できるものを描いていましたが、大学1年生になってもっと幸せな事も描こうと思える様になりました。きっとこんなふうに描きたい議題は一年ごとに変わるのだと思いますが、人間の悲しいと感じる部分や報われない気持ちに寄り添える絵を描ける様に一年一年精進していこうと考えています。

作品詳細ページはこちら

 次に実現したいと思っている作品のアイデアがあれば教えてください。
今は白黒の大きな作品が多いのですが、これからは色を付けた大きな作品なども制作してみたいなと思っています。今までは銅版の作品を白黒で制作していたのでこれからは沢山新しい技法を試して、自身のキャパシティーを増やしていこうと思っています。

ボウル太郎

コンセプト

ボウル太郎のファンタジー作品には、オートマティスムという技法が使われています。この技法は、いわゆるシュールレアリズムである。画家エッシャーやエゴン・シーレの影響を受け、遠近法の誘導や真の人間性を追求する世界に魅せられている。彼のコンセプトは「人に自由を伝えるアート」。これからも、誰もが享受できる自由を伝えるアートを作り続けていくだろう。

経歴

2003年生まれ。2018年 高校に入学2018年 大阪府高等学校美術工芸品展 優秀賞2018年 佐渡版画甲子園 佐渡市長賞2019年 大阪府立高等学校美術工芸展 優秀賞2019年 二科展入選
今回ご紹介の作品はTRiCERAで扱っています。

著者

Soichiro Masuda