私の目標は時代を超越することと語るのは、絵画に装飾や職人技を施すKohei Kyomoriさん。今回は、彼の考えや制作についてお話を伺いました。
Kyomoriさんは、装飾という文脈で絵画を制作されていますよね。その前に聞いてもいいですか?
-私は現代装飾家という肩書きで仕事をしていますが、歴史上の数々の装飾文化を自分なりに解釈し、更新していくことを念頭に置いています。そう考えると、国や地域を問わず、装飾文化を新しい形で紹介する絵画という形での仕事になるのかもしれません。現代美術、特にコンセプチュアルな作品は、ある意味で言語が重要です。でも、少なくとも自分の作品に関しては、言葉に頼らずに、目で見て感動するような作品でありたいと思っています。
グラフィックデザインや洋服の仕事をされていましたよね。その影響はありますか?
-影響を受けていて、重要な要素です。色の組み合わせについては、ヨーロッパでファッションを学んだ経験が活かされていると思います。また、デジタルでも仕事をしているので、平面画の枠を超えて、素材の選択やデジタルとアナログの融合など、複数の技法や素材を組み合わせて作品の力強さを高めようとしています。
制作過程を教えていただけますか?
-最初にスケッチ、次にデジタルシミュレーション、そして作品のCGデッサン。
そして、素材に合った印刷技術で作品をプリントアウトし、鉱物顔料やUV樹脂を使って染色や立体的な加工をしていきます。
手の込んだ作業です。
-そうですが、この方法の良いところは、チャンスを生み出すことです。
デジタルシミュレーションのプロセスを経ることで、意外な要素が生まれます。自分のアイデアに縛られることなく、そこから解放されたアイデアを制作に取り入れることができます。
作品にはいくつかのシリーズがありますが、それぞれの焦点は何ですか?
-今は大体5シリーズあります。
例えば、「A-UN」シリーズには、民族間の差別や偏見を克服するための希望のメッセージが込められています。
もう一つの重要なシリーズが「JAPAN BLUE」シリーズです。このシリーズは藍染めを使用しています。このシリーズのテーマは「不完全性の肯定」。
社会的に相容れないとされているものはすべて個性だと思います。
多様性のある社会とは、確立された枠組みに収まらない特性を取り入れた社会のことです。
だからこそ、私にとってはとても日本的だと思います。
作品を通して伝えたいメッセージや目標はありますか?
-メッセージは「不完全さを認め、受け入れること」。目標は「時代を超越すること」です。
この目標をずっと考えていました。本番で一番大事なことかもしれません。
最近、普遍性について考えることが多いのですが、装飾的な意味では、見たときの感覚でしょうか。
一つのデザインには、それに関わる人たちの技量と密度、時間とエネルギーがたくさん詰まっています。それを見た誰もが「素晴らしい!」と思うでしょう。と思えるのではないでしょうか。
説明しなくても感動できるものが好きで、素敵だと思います。
今後の予定を教えてください。
-日本の伝統工芸の文脈を、装飾という観点からアートに活かしていきたいと思います。
具体的には、有田焼や徳島の藍染めなど、歴史と伝統の中で育まれてきた技術を、私が制作する装飾画と組み合わせていきたいと考えています。そうすることで、作品/オブジェの価値、力強さ、エネルギーを高めることができると考えています。
また、それぞれの地域と連携することで、日本の未来に残せる技術や伝統を守り、進化してきた伝統を継承することで、時代を超えて未来につなげていきたいと考えています。