髪の毛の1本1本までこだわりぬいて描かれた作品を描く丁子紅子。
数多くの個展や受賞歴を持つ彼女の名を、見かける方も多いのではないだろうか。
作家、丁子紅子の魅力の秘密はどこにあるのか。
洗練され削ぎ落とされた線の中で表現されるディテールの密度とは裏腹に、空間と余白が重要だと彼女は語る。今回は彼女が作品制作を通じて描かれようとしているテーマをインタビューしました。
アーティストになられたきっかけを教えてください。
私は大学生の頃はアーティストになろうとは全く考えていませんでした。
学生時代に特に芽が出ることもなかったですし、
ちょっと作家活動ができればいいなという程度に考えジュエリーのオーダーメイドの会社へ就職をしました。
しかしわたしは高校生の頃から美術科へ進学していた為、
高校、大学の毎日に当たり前にあった"絵を描く時間"を取ることが難しくなり
初めて自分の心を保つためには絵を描くという時間が必要不可欠だということに気が付きました。
それから真剣に向き合い、アーティストとして独り立ちをしようと決意をしました。
女性をモチーフにした作品が多いと感じますが、女性を選ばれたきっかけはあったのでしょうか。
私は“美人画“にこだわっているわけではなく、
絵画として一番表現したいと考えているのが“心”です。
心を複雑にもちあわせているものはやはり人で、私自信が女性ということもあり、
心=人物が女性像として表現するのが自分の中で自然に感じたからです。
その中で大切にしている女性のやわらかな存在感やライン、
表情は私の表現したい心の表情の儚さにも通じているような気がしています。
(A Story, H 50cm x W 38cm x D 4cm, Painting)
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作風が出来上がる過程で、かつて受けた影響や作風の完成の経緯があれば教えてください。
2013年に大学を卒業するまで、自分の心をそのまま絵に投影させぶつけるような絵画を描いていました。
強く、激しくぶつけるという表現の方が近いことも多かったように感じます。自分の心を浄化させるための絵画でした。
大学卒業後は就職をし、
ジュエリー会社では接客をしながらお客様のジュエリーの修理を承ったり
リフォームのデザインをご提案するような仕事をさせていただきました。
いままで自分のために絵を描いていたのに、幸せな気持ちで手に取ってもらうために考え、
デザインをしたり、絵を描いたりと、何かを提供する側になりました。
そこでふと我にかえり、絵も同じでなくてはいけないんだと気がつくことが出来たのが私の今の原点です。
そこからは手の向かい側には必ず見てくださる方がいるということ意識しはじめました。
そこから私はすべて削ぎ落とした“無”というところへ辿り着き、今の作風が完成しました。
丁子紅子さんがもっとも重視しているテーマをお伺いしたいです。
私が一番大切にしているテーマは"移り変わりの時間の切り取り"です。
1から2に移る、目には見えないその間の時間はとても尊いものだと思っています。
そこには必ず空間があり、ひとが普段感じ取れない空気があるように感じていて、
実はとても大切な移り変わりの表情や心の色の変化がそこにある気がするのです。
無の時間であると思うのですが時が止まる絵だからこそ表現ができるものだと考えています。
(An offering, H 91cm x W 65cm x D 2cm, Painting)
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最後に、TRiCERAでは世界中に作品を届けていく支援をしております。丁子紅子さんにとって海外に作品が広がっていくことはどんな意味があるでしょうか。
わたしは日本画というジャンルのなかで作家をしていくにあたり、天然の岩絵具や筆、
素材をとても大切にして制作をしています。
日本画だから出来ること。日本人だからこその余白の感性。
その部分を大切にしているからこそ、古来からの日本画の画風とは違うかもしれませんが
素材の素晴らしさや美しさを伝えていけると考えています。
もっともっと世界を超えて日本画画材の素晴らしさに触れていただきたいと願っています。
(Everything is one, H 165cm x W 133cm x D 4cm,Painting)
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学生時代は自己の浄化のための絵画だったものが、様々な経験を超えて、どんな相手に”心”を届けるのかを意識するようになったと語る丁子紅子。
人の心が移ろいゆくその瞬間を絵画の中に捕らえる事、彼女自身の生き様や変化さえもが作品に投影されていく姿が、
見る人の心にドラマティックな共感を生み続けているのかもしれない。
丁子 紅子/Choji beniko 経歴
1991年 埼玉県大宮出身
現在現代童画会 委員
大宮光陵高等学校美術科卒業
女子美術大学絵画学科日本画専攻卒業
2016年
アートのチカラ2016/新宿伊勢丹
2016正月展/名古屋三越栄店
チョコっとアート展/新宿伊勢丹
MITHUKOSHI ART CUBE/日本橋三越
美人画展/ロス郊外サンタモニカ Bergamot Station Arts Center
2017年
アートのチカラ 2017/新宿伊勢丹/東京
美人画づくし出版記念展 /ギャラリーアートもりもと/東京
アートのチカラ発表展/新宿伊勢丹本館5階ギャラリー/東京
2017ヤングアート旋風アートアートアート。/名古屋松坂屋/名古屋
アートでゆこう!/浦和伊勢丹
堀口徹VS丁子紅子ー鋒ー/銀座モダンアート/東京
Art Square Taipei/圓山大飯店・台北
女絵画展/渋谷東急
2018年
アートのチカラぷち!2018/新宿伊勢丹
日仏現代アート展(ネオジャポニズム共鳴2018)
アートのチカラ選抜展/新宿伊勢丹
フェルメールトリビュート展/MDPギャラリー/東京
KYOTO展/池袋パルコ
2019年
アートのチカラ2019/新宿伊勢丹
美人画づくし弐出版記念展 /ギャラリーアートもりもと/東京
アートフェア東京2019/清アートスペースブース/東京国際フォーラム
中村月子X丁子紅子コラボアート展「紅月」
アートフェア北京/清アートスペースブース
横木安良夫X丁子紅子コラボ展/ギャルリーラー/東京
OSAKA ART FES/阪神梅田/大阪
2020年
阪急Xアートコレクターズ ニュースター達の美術展/阪急梅田/大阪
2020ヤングアート旋風アートアートアート。/名古屋松坂屋/名古屋
アパートメントvo2/羅針盤/東京
その他多数
個展
2012 丁子紅子展-to live- /埼玉県大宮石原誠美堂ギャラリー
2014 丁子紅子個展-失う中で、刻むもの-/space2*3 ミツイアート
2016 丁子紅子個展-ここに在る。 -/space2*3 ミツイアート
2015 丁子紅子個展/カフェ&バル PONTE
2017 丁子紅子個展—Wish—/SOZO HARE&MAKE
2017 丁子紅子個展—あなたへ。—/ぎゃらりぃ朋
2018 丁子紅子日本画展—あの日のことー /浦和伊勢丹
2018 丁子紅子個展 沈黙する身体、あるいは真実。/清アートスペース
2019 丁子紅子日本画展 『はなことば。』GUM表参道
2020 丁子紅子個展 鏡花水月/清アートスペース
2020 丁子紅子個展 傍/銀座奥野ビル ギャルリーラー・讃岐うどん青ノ山
2021 丁子紅子個展 溶け合う時。/西武池袋本店6階アートギャラリー
受賞歴
第36回 現代童画展 奨励賞
第37回 現代童画展 入選(賞候補)
第38回 現代童画展 現代童画会賞(会友推挙)
第五回 Next Art展 入選
第39回 現代童画展 上野の森美術館賞
第31回 FUKUIサムホール美術展 入選
第40回 現代童画展 第40回記念会友賞 会員推挙
第42回 現代童画展 会員作家賞
第45回 記念現代童画展 現代童画大賞
雑誌掲載等
「顔に降りかかる雨」 桐野夏生(新装版)/講談社文庫
「天使に見捨てられた夜」 桐野夏生(新装版)/講談社文庫
「ローズガーデン」 桐野夏生(新装版)/講談社文庫
「DARK」 桐野夏生(カバー替)/講談社文庫
「月蝕楽園」 朱川湊人(文庫版)/双葉社
「風待心中」 山口恵以子(文庫版)/PHP文庫
「誰?」 明野照葉(文庫版)/徳間文庫
掲載本
「現代画家が描く美と幻想の世界 妖しく美しい女性たち」(総合ムック)/綜合図書
「美人画づくし」池永康晟監修/芸術新聞社
「美人画づくし弐」池永康晟監修/芸術新聞社
「日本画家が描く美人画の世界」辰巳出版 辰巳ムック
その他
それでも尚、未来に媚びる。2nd Mini Album「四季、式として」ジャケット
中村月子 メインヴィジュアル
明日の叙景 1Stアルバム 「わたしと私だったもの」ジャケット
メガネブランド 「VioRou」のブランドヴィジュアル2015~
ファッションブランド「0658」
3rd collection 『Black noise effect』作品コラボ
4th collection 『表裏のエラッタ』作品コラボ
5th collection 『last night cryptogaram』作品コラボ
6th collection 『The under eye』作品コラボ
新潟a crowd of rebellion アルバム「BLACK_:24」, 「:12_White」アートワーク
今回紹介の作品は全てTRiCERAで掲載しています。