TRiCERA発のオークションイベント「START」第一弾の出展作家の"なぜSTARTに出展したか"を主軸にしたインタビュー、ならびに新作の紹介を行います。
オークションイベント「START」とは
2021年2月に行われた「START」。アートに携わる様々な人たちを「セレクター」としてゲストに招き、それぞれの視点からアーティストを選び、そしてその魅力を伝える言葉と共に、その作品をオークション形式で販売いたしました。「アートをこれから始める」という方にも分かりやすい設計を行い、またオークションがはじめての方、オンラインではじめてアートを買う方など、様々なひとたちの「スタート」になるような企画となっております。
作家紹介
菊地 虹 (Kou Kikuchi)
1994年東京都出身。2020年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。主な個展には「菊地虹 個展」(Room_412, 東京, 2020)、「KO KIKUCHI EXHIBITION」(GALLERY b. TOKYO, 東京, 2019)があり、主な受賞歴には「ターナーアクリルガッシュビエンナーレ2018 入選」がある。
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「START」に参加したきっかけ
コロナウィルスの影響で展示会などのイベントが無くなっていた中、オンラインで作品をみていただける機会が貴重と感じました。
STARTのセレクションに選定いただいてとても嬉しく感じています。
「START」に出典した作品について
作品名:馬、鉛筆の足跡は斑の中。
技法:アクリル / 石膏 / 二水石膏 / 墨汁 / キャンバス
STARTでは、"馬、鉛筆の足跡は斑の中。"というキャンバスの周りに特徴のある作品を出展している。もともと過去の作品には自作で額縁を作成した状態で販売を行なっていた菊池紅、絵画が造形物として扱われるということが増えている中で、キャンバスに余白を持たせるという意味も込めてフレームという機能をキャンバスの耳のようにアートとして演出できたらと考えてこの作品を製作した。このシリーズは"みみシリーズ"の作品であり、ものの存在のあり方を人々がどのように捉えるかに焦点を当てたものである。
作品は馬をモチーフとしているが、菊池虹がオランダのアムステルダムに行ったときに、インスピレーションを受けたものである。
"放し飼いにされている馬が何十頭も並んでいる姿が、海岸の石ころのように見えた"
それは、本当は同価値ではないものが同じ価値に見えた体験であり、この馬をモチーフとした作品はその後の菊池虹の製作の原点とも言える代表的な作品である。
既存作品の紹介
作品名:Boy
作品サイズ:91 x 72.7 mm
技法:木製パネル / アクリル絵具
作品価格
170,000円 + 税
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"Boy"はスペクトラムシリーズと呼ばれるカラフルなシリーズの作品である。みみシリーズとは対照的に事柄、バラバラな性質のものをアート作品として同じキャンバス上で表現したものである。
スペクトラムシリーズとしては人物を描いた初めてのものであり、この作品は少年という"こと"がモチーフとなっている。少年は子供であると同時に大人でもありうる中間的な存在。少年の中に混在している冒険心、好奇心、探究心、挑戦心、ワクワク感といった様々な価値が少年を表す "こと" として様々な色で1つのキャンバスに現れており、いつまでも少年のような感覚を忘れないという思いが込められている。
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セレクター
「もの」を等価な視点で表現しようとする努力から生まれる作品は、一瞬抽象画的な様相になり、その中に「もの」というものの中に潜む面白い効果を作り出しています。「もの」というものの無意味さと同時に、そこに実体としての価値を認識する人間の観念上のギャップから、「もの」そのものをいかに表現するかという困難な課題に取り組んでいる作品に見えます。等価に「もの」を表現しようとする作家行き着く「もの」の姿が、どのような表現と作品になるか、 将来、作家が作り出す作品の可能性を評価し、作家の「もの」の価値の行き着く先の未来を楽しみにしたいと思います。
倉田 陽一郎
Shinwa Wise Holdings株式会社 代表取締役社長
オークショニア、アートコレクター、ワインコレクター、起業家、投資家