TRiCERA発のオークションイベント「START」第一弾の出展作家の"なぜSTARTに出展したか"を主軸にしたインタビュー、ならびに新作の紹介を行います。
オークションイベント「START」とは
2021年2月に行われた「START」。アートに携わる様々な人たちを「セレクター」としてゲストに招き、それぞれの視点からアーティストを選び、そしてその魅力を伝える言葉と共に、その作品をオークション形式で販売いたしました。「アートをこれから始める」という方にも分かりやすい設計を行い、またオークションがはじめての方、オンラインではじめてアートを買う方など、様々なひとたちの「スタート」になるような企画となっております。
作家紹介
額賀 苑子 (Sonoko Nukaga)
1989年神奈川県出身。2013年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、2015年同大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。主な個展に「紗のむこう」(Hideharu Fukasaku Gallery Roppongi, 東京, 2019) 、「額賀苑子 」(Gallery jin, 東京, 2016)が、主な受賞歴には安宅賞受賞 (2013)、安宅賞受賞(2015)、杜賞受賞 (2015)、アートアワードトーキョー審査員賞・建畠晢賞(2015) がある。作品は広岡浅子像として大同生命大阪本社ビルに設置されている。
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「START」に参加したきっかけ
1次流通でオークションをする試みが面白いと思い参加させていただきました。
マーケットの幅を広げることで、普段日常的にアートに触れる機会がない方にもみていただきとてもよかったと思いましたし、新たな目線や楽しみ方が生まれたと思いました。
「START」に出典した作品について
作品名:Surface relief 01
![](https://cdn.tricera.net/wp-content/uploads/2021/09/額賀苑子-840x1024.jpg)
技法:陶
彼女の作品は表層と実態のずれを制作のコンセプトとしている。STARTに出典した"Surface relief 01"は「Surface relief」シリーズの初めの作品であり、人の部分に厚みを持たせてコントラストをつけることで表層と実態の輪郭を切り取っている。実際に見えるものの印象とその対象の中身を知ったときに感じる印象では感じ方が全く異なることも少なくない。この作品はそんな表層と実態のずれを少し湾曲のあるレリーフをベースに保有色や金彩を用いて表現した。保有色や彫刻の形は釜からだした瞬間から定まるが、金彩(表面)は見る時の環境状況によって見え方が変わる。
既存作品の紹介
作品名:landscape01
![](https://cdn.tricera.net/wp-content/uploads/2021/09/スクリーンショット-2021-09-16-16.14.45-1024x680.jpg)
作品サイズ:W13 x H27 x D24mm
技法:彫刻 / 立体
作品価格
120,000円 + 税
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"landscape01"は「Landscape」シリーズの作品である。人物を陶で制作しており表面に紫色の釉薬(ゆうやく)を何層にも重ねて毛に覆われている様子を表現している。
我々が感じる、人間、その他の生き物もしくは世間の目に見える表層から、本質にたどり着くまでに何重にも重なる異なる情報をかき分ける、彼女の言葉を借りるならば、"真実までの無限の旅をする"様を表現している。物事の本質が表面からでは見えない様、存在のあやふやさを彫刻表現としてはっきりと表現しているこの作品は立体的な作風が中心の彼女ならではの趣があり、見るものを感情的に、知的に刺激してくれる。
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セレクター
数百年残るアートのインフラの話をする時に、数百年残る作品とはどんなかを考えたりする。それはきっと強くない、むしろ緩やかな謎が、ずっと解かれないまま、でもその謎を解きたいという気持ちを少しだけ抱かせ続けるような作品なんじゃないか。小さな謎が鑑賞者の物語を紡ぎ続ける、額賀さんの作品にはそのような穏やかな強さを感じました。
施井 泰平
スタートバーン株式会社 代表取締役 最高経営責任者 (CEO)